X308 · COLOURS & TRIM
色を選ぶ
英国車の色名には、詩のようなところがあります。外装と内装、その組み合わせの話。
X308を選ぶとき、グレードやエンジンと同じくらい迷うのが色です。英国車の色名は、ただの「白」「黒」では済みません。海のしぶき、宝石、森の名前。名前を知ると、同じボディがすこし違って見えてきます。
※以下の色名は、当時の整備資料やオーナーコミュニティに記録されたものです。メーカー発行カタログの原本までは確認できていないため、年式による追加・廃止がある点はご了承ください。
外装の色
定番の白は「スピンドリフト(Spindrift)」——波頭が風に散る、あのしぶきの名前です。英国車らしさでいえば、やはり「ブリティッシュ・レーシング・グリーン」。深い緑で、女王のデイムラーの一台もこの色でした。金色がかった「トパーズ(Topaz)」、宝石の名を持つ青「サファイア(Sapphire)」、深いグレーの「アンスラサイト(Anthracite)」——創業者100年記念のXJR 100は、このアンスラサイト一色でした。
ほかにも、エメラルド、シーフロスト、ウェストミンスター、カーニバル、ミストラル、パシフィックなど、名前を並べるだけでも楽しくなります。同じ車でも、シルバー系のメタリックで都会的にも、BRGで英国の田舎道のようにも見える。色は、この車の表情をかなり大きく左右します。
内装の色
内装は、二色の組み合わせで名前がついていることが多いです。「アイボリー&セーブル(Ivory and Sable)」は明るいベージュに濃茶の差し色。「オートミール&アンテロープ」は穏やかな砂色系。「カシミア&セーブル」、グレー基調の「ウォーム・チャコール」。そして緑系の「キャトキン&パイン(Catkin and Pine)」——猫柳と松、という名前です。
ウォールナットの飴色のウッドに、どの革を合わせるか。明るいアイボリーで軽やかにするか、チャコールで引き締めるか。木と革との章に書いた通り、ソブリン以上では杢の濃いバールウォールナットが使われるので、内装色の選び方で、客室の印象はがらりと変わります。
だからこそ、同じX308でも一台ごとに表情が違う。
選ぶ楽しみ
外装色と内装色は、ある程度は自由に組み合わせられたようです(グレードによって選べる内装のセットは分かれていたようですが、ここは確実な一次資料が取れていないので、参考程度に)。だからこそ、同じX308でも一台ごとに表情が違う。中古で探すときも、状態や距離だけでなく「この色とこの革の取り合わせが好きだ」という選び方ができる車です。
この個体の色は、ブリティッシュ・レーシング・グリーン。ただ、言葉で緑と書くより、光の下でどう見えるかはギャラリーで見てもらうのがいちばんだと思います。色は、結局そこでしか伝わらないので。
参考資料:PistonHeads — X308 colour combinations/Montgomery Brits — 1998–2003 Jaguar parts information
X300とX308
先代とそっくり。では、どこで見分けるか。