X308 · THE SISTER CAR
XK8という姉妹
同じ心臓、同じ顔立ち、違う身体。X308と同じ時代に生まれた、もう一台のジャガー。
X308を語るうえで、もう一台、外せない車があります。ジャガーXK8。同じ時代に、同じ心臓を積んで生まれた、2ドアのスポーツGTです。サルーンとクーペ、姿はまるで違うのに、中身を見ると深いところでつながっています。
同じ心臓
ジャガー初の量産V8「AJ-V8」を最初に積んだ市販車は、じつはX308ではなく、このXK8でした。XK8は1996年に登場し、X308(XJ8)が出たのはその翌年、1997年。つまりX308は、XK8で世に出たエンジンを受け継いだ、ということになります。
搭載エンジンは世代を通じてほぼ共通でした。1997〜1998年型はどちらもAJ26、1999年以降は連続可変バルブタイミングを得たAJ27へ。スーパーチャージャー版も、XKRとXJRで同じものを使っています。サルーンとクーペが、まったく同じ心臓を分け合っていたわけです。
同じ顔立ち
つながりは、エンジンだけではありません。木と革との章で触れた、X308の三つの丸いメーターを持つダッシュボード。あれは英語版Wikipediaにも「当時登場したばかりのXK8と同様のスタイル」と記されている通り、XK8に呼応してデザインされたものです。
それもそのはず、両車のデザインを統括したのは同じ人物——ジャガーのデザインディレクター、ジェフ・ローソン(Geoff Lawson)でした。彼は1999年に惜しくも亡くなりますが、XK8とX308は、同じ感性から生まれた姉妹のような関係にあります。だから室内に座ると、片方を知っている人はもう片方に「見覚え」を感じるはずです。
同じ心臓を、片やスポーツに、片や品格に振り分けた。
違う身体
もっとも、「兄弟車」と呼ぶには一点ことわりが要ります。両車はプラットフォーム(車台)そのものは別物だからです。X308はXJ40から続くサルーンの車台、XK8は専用のスポーツカー車台。だから正確には「同じエンジンとデザイン言語を共有する、同世代の姉妹」というのが近い表現です。
性格もはっきり違います。XK8は2ドアのグランドツアラー。流れるようなロングノーズで、感情に訴える車。対してX308は4ドアのエグゼクティブサルーンで、格式と快適さで語る車。日本での当時の価格は、XK8クーペがおよそ888万円、X308のエグゼクティブ4.0が795万円ほどと、近い価格帯に並んでいました。同じ心臓を、片やスポーツに、片や品格に振り分けた。そういう姉妹です。
参考資料:Jaguar XK (X100) — Wikipedia/Jaguar AJ-V8 engine — Wikipedia/Geoff Lawson — AROnline
色を選ぶ
「波しぶき」に「猫柳と松」。英国車の色名は、詩に似ている。